皆さん、輸入タイヤを装着してから、空気圧の点検はされていますでしょうか?「国産タイヤと比べ、空気が抜けやすい」なんて事はないのですが、定期的な点検を行うことは、せっかく安く買ったタイヤを長く使うために必要な作業です。
1ヶ月に1回は点検する、というのが一般的ですので、皆さんも点検はこまめに行ってくださいね。
タイヤ規格による適正空気圧の違い
世界には米国のTRA(ティーアールエー)、ヨーロッパのETRTO(エトルト)、日本のJATMA(ジャトマ)といったタイヤ規格を定めている組織があります。それぞれタイヤの寸法や負荷能力を制定し、その規格に沿ってタイヤが設計されています。タイヤは国際的に流通している自動車部品ですが、国により規格が異なるのが現状です。現在、タイヤ規格の共通化が進められています。
「XL」や「EXTRA LOAD」のような刻印があるタイヤはエクストラロード(XL)規格、「REINFORCED」や「RFD」と刻印があるタイヤはレインフォースド(RFD)規格と言います。一般的には、これらを総称してXL規格と呼んでいます。エクストラロード(XL)規格のタイヤは、内部構造を強くすることにより、スタンダード(STD)規格のタイヤよりも高い空気圧設定ができるため、より大きな負荷能力を発揮します。
空気圧っていくらに設定するの?
点検を行っても、どの数値が正解なのか、わからないと意味がありませんよね。今回最も説明したい内容としては、「定期的に点検する」と「空気圧の設定値」です。
皆さんは、運転席側のドア付近に、上図のようなシールを見たことはないでしょうか?ほぼ全ての車に上図のようなシールがあるはずです。
シールの内容は、①純正のタイヤサイズ②前輪の空気圧設定③後輪の空気圧設定値となります。純正のタイヤサイズは175/65R15 84Sで、空気圧設定値は、前輪220kPa、後輪が210kPaの設定が基準値となります。
では、上記設定値が意味するものとは何でしょうか。
空気圧設定値が意味するものとは
JATMA規格の空気圧(kPa) | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Load Index | 140 | 150 | 160 | 170 | 180 | 190 | 200 | 210 | 220 | 230 | 240 |
84 | 365 | 380 | 395 | 410 | 425 | 435 | 450 | 460 | 475 | 490 | 500 |
85 | 375 | 390 | 405 | 420 | 435 | 450 | 465 | 475 | 490 | 500 | 515 |
86 | 385 | 405 | 420 | 435 | 450 | 460 | 475 | 490 | 505 | 515 | 530 |
上記表は、JATMA規格の空気圧表になります。純正はJATMAの空気圧設定で見る必要があります。色がついている箇所が、先ほどあった210kPaと220kPaになります。見ると460と475という数字がありますよね。これが、タイヤ1本あたりが耐えられる重さ(kg)になります。前輪で210kPaであれば、1本あたり460kgに耐えられます。後輪は475kgです。よって、4本では(460x2+475x2=)1,870kgの重さに耐えられることがわかります。
一番左にある数字は、ロードインデックスといわれるもので、タイヤサイズの横にある数値になります。今回のサイズでいうと、175/65R15 84Sの「84」がロードインデックスに該当します。
XL規格の場合、どうなるの?
では、本題です。
今まではJATMA規格の空気圧設定について説明してきました。では、XL規格の場合、どうなるのでしょうか。
NANKANG XR611 175/65R15 88H XL
この商品は、先ほど説明した同サイズでXL規格になります。
注目したいのが、ロードインデックス値です。「88」となっています。このようにXL規格の場合は、JATMA規格よりロードインデックス値が高くなります。
XL規格の空気圧(kPa) | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Load Index | 190 | 200 | 210 | 220 | 230 | 240 | 250 | 260 | 270 | 280 | 290 | ||||
88 | 400 | 415 | 435 | 450 | 465 | 480 | 495 | 515 | 530 | 545 | 560 | ||||
89 | 415 | 430 | 450 | 465 | 480 | 500 | 515 | 530 | 550 | 565 | 580 | ||||
90 | 430 | 445 | 465 | 480 | 500 | 515 | 535 | 550 | 565 | 585 | 600 |
JATMA規格の空気圧設定は210kPaと220kPaでした。その場合、210kPaで435kg、220kPaで450kgの負荷能力がありますが、これでは足りません。(JATMAでは460、475)
JATMAと同じように460kg、475kgを超える数値を出すには、前輪を230kPa(465kg)、後輪を240kPa(480kg)に設定する必要があります。このようにXL規格の場合、JATMA規格より高い空気圧設定が求められます。
参考までに、規格別の空気圧一覧表のページを作りましたので、ご覧ください。
・JATMA規格の空気圧一覧表
・XL規格の空気圧一覧表
ここで問題です
空気圧シールに「215/45R17 87W 前輪・後輪ともに230kPa」と記載がありました。
同サイズにタイヤ交換をしようと思います。購入予定の商品は
NANKANG AS-2 +(Plus) 215/45R17 91V XL
上記商品の場合、空気圧設定はいくつになるでしょうか?
答えは最後に記載しますね。JATMA規格の空気圧一覧表とXL規格の空気圧一覧表を見て、考えてみてください。
空気圧のまとめ
これで、概ねタイヤの空気圧をいくらに設定すればよいか、理解出来たのではないでしょうか。ここで注意しておかなければいけないのは、極端なインチアップに対しては、表からの算出が困難なことです。極端にインチアップしている場合は、ディーラーやガソリンスタンドで確認してみてくださいね。
輸入タイヤは、定期的なチェックと、適正空気圧を知って設定しておくだけで、ライフがグンっと伸びます。タイヤがバーストしたなどの不具合については、ほとんどがこの空気圧設定を間違っているため、起こっていることが多いようです。皆さんも一度空気圧をチェックしてみてはどうでしょうか。
では、先ほどの質問の答えです!
215/45R17 87WでJATMAの空気圧設定が230kpaということは、不可能力は530kgとなります。これをXL規格の「91」で見てみると240kPaで530kgの負荷能力が得られるので、240kPaの空気圧設定が答えとなります!
皆さん、どうでしたか?
参考になれば幸いです!